あとがき

 いま改めてこの話の校了日を見ると、2000年の12月。う〜ん、もうまるまる一年経ってしまったんですね。
 『わたしの好きな兄だから!』(以下『兄』)は、サイトの開設と共にスタ
ートした『Right Sex!?』が諸般の事情で連載を中止したのを受け、急遽設定を煮詰めて連載を開始した話です。
 先に一括公開した『とらぶるTWIN』が姉弟系の近親ものでしたから、同じようなジャンルでいくことに少しためらいもあったのですが、ポンポンと設定を作ることができたので、勢いで連載をスタートしました。

 『兄』を振り返ると真っ先に思い浮かぶのが、主人公の智香です。それこそまさに勢いで書いた、ちょっとお間抜けな巻き込まれ型の高校一年生。
 とにかくコミック調を意識して、と思っていたのですが、今読み返すと、いったい何処の誰がこの人を書いてるんだ? などと腕組みをしてしまいます。
 まあ、どの話も多かれ少なかれそういうところがありますが、この話は特にそういう感じが強くて……。

 実は、コアなファンが多い話でもありまして、アンケートで頂く『お好みの話』で、最近までずっと『Love Spreads』に次ぐ二番目の位置を占めていました。(現在は『私と彼女』がその位置にあります)
 アンケートや掲示板で、『涙が出てしまって』とか『感動しました』といった感想をいただいて、なんともくすぐったいような嬉しさを感じたこともありました。
 感想をくださった方に、改めてお礼申し上げます。少しでも喜んでいただけけたとわかると、本当に執筆意欲が倍増します。

 主人公の智香の他に、恭一や江梨奈といった脇役も結構お気に入りで、お兄ちゃんの幹高も含めて、動かしやすいキャラクターばかりでした。
 ラストのエッチシーン、エンディングに関しては、初期に構想したものとはかなり異なったものになった記憶があります。当初の予定では、きっぱりさっぱりと『お兄ちゃん』から卒業して、新しい恋に歩き出すはずでしたから。
 この辺も、この話がキャラ主体で展開した証しなのではないかな、と思い返しています。

 さて、この『兄』には、連載が終わった直後からずぅっと眠らせている番外があります。題名もあらすじも決まっていて、『ぼくの愛する姉だもの!』という姉妹編です。
 江梨奈の弟が主人公の話で、恭一、智香など『兄』の登場人物もほぼ総出演の内容です。
 ちょっとした暇と、シンクロさえできればいつでも書けそうなのですが、最近書いているものの内容との格差のせいか、どうも手を付けかねていて……。
20万ヒットくらいの記念でどうかなぁ、などと。
 作者としてはお気に入りの話の姉妹編ですので、いつか必ず書くこととは思います。あの世界が好きな方は、しばしお待ち下さいな。智香の「その後」にも少し触れられれば、と思っています。

 わたし、里田の少女コミック的趣味。そんな部分が明瞭に現れている作品、 それが、『わたしの好きな兄だから!』です。
(2001.12.10)

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