こんにちは、里田です。
 この度は、『恋のStep-Up Lesson』を読んで頂いて、ありがと
うございます。
 って、ここを読まれているんですから、最後まで読んで下さった
方、ですよね? 読まずにあとがきだけ読んでる? ゆ、許さん。
(嘘です。あとがきで興味が出たので読んだ、でもゼンゼンオッケ
ーです。)

 冗談は置いといて、この話、思ったよりずぅ〜っと長い話になっ
てしまいました。書き出した当初は、『全部話が決まっているのは
久しぶり』などと豪語していましたが……、確かに話は計画通りで
す。しかし、内容が。
 本当は、もっと軽い感じの話にするつもりだったのです。見方に
よるとは思いますが、これの前に書いていた『Love Spreads』が、
結構細かく進展を追っていく内容だったので。
 もう、ノリで、先生と生徒の罪のない恋愛を書こう、と決意して
いたのですが……。
 どうも、いけませんな。一章を書き始めた時から、それなりに心
理や、キャラクターの背景を追う話になってしまいました。おそら
く、そこそこ設定を煮詰めたせいでもあると思いますが。
 そういうわけで、ホントに途中で投げ出したくなった瞬間もござ
いました。書いている本人が、つまらん!とか思って書いていて、
読んでくれた方には全く申し訳ない限りでした。が、様子が変わっ
たのが4章を書き終えた辺りから。一度通しで読み直してみて、思
ったこと。
「これはこれで、いい感じかもしれない」―まったく無責任な作者。
 後は、気を取り直して最後まで書き切りました。
 もちろん、本当の評価は読んで下さったみなさんにお任せします。
ただ、真雪にも圭吾にも、愛着が湧いて、最後まで完走できてよか
った、と正直に思っています。
(2001.06.14)


 番外編、追加公開いたしました。2001年11月のコミティア58で
文庫化した際に追加したものです。
本編を公開した頃とは執筆に対する環境や取り組みもだいぶ変わっ
てしまいましたが、今でも真雪と圭吾のことを思い出すことがあり
ます。
 だいたいが「ほんと、危ない教師だよな〜」というニュアンス。
もちろん愛着を込めてなんですが。
 どんな話を書いても、まるきりの浮世話という奴が書けない体質
の作者です。生徒と恋愛に陥る教師がいるならこんな感じなのかな、
真雪の性格設定の背景には作者のそんな思惑が入り込んでいるので
はないかと思います。

 本当は、さらなる番外編(というか、中編)『圭吾くん大学恋愛
騒動』というちょっとディープな話が頭の中にはあるのですが、ど
うなることやら。
 天から休みが降ってくるようなことがあって、その時にするべき
ことがなければ書くかも……。純粋な恋愛遊戯的な内容は、どうも
手に付き辛くなってきています。
 ただ、二人の姿は『Affection for...』の中で再び目にすること
ができると思います。その時は、このなんともマイペースな二人
の姿を楽しんでやってください。きっと彼らの事ですから、ストー
リーにちょっかいを出してくること間違いないと思っています。
(2002.02.01)


(2001.11発行の同人誌巻末の再録です)
 この度は、『恋のStep-Up Lesson』を手にとって頂き、まことにありがとうございます。
 この本は、今年の四月から六月にかけて、オンライン小説サイト『プリズムオフィス』にて連載公開したものに、新たに番外編を書き下ろして一冊にまとめたものです。
 相変わらず、一般的な官能小説と言うより、人や周りとの繋がりや心理描写に重点を置いた、『アダルトシーン付きの物語』といったニュアンスの小説になっていますが、わたし、里田慕の十八禁小説の基本線と言う事でご了解頂けると幸いです。

 さて、『女教師もの』に分類されるこの話ですが、架空の学園生活を楽しみ、アダルトシーン込みのドキドキを味わってもらおうという意図の他に、少し折り込みたかった内容があります。
 市販の官能小説の題名や帯をざらっと眺めると、近親相姦と並んでメジャーなジャンルとして、教師ものの存在があるようです。この辺りは、トー・クンなどが翻訳されていた時代から綿々と続く流れなのか、と思う一方で、その内容がある程度一様な事に気付かされます。
 それは、教師―生徒――教え教えられる関係と、学び舎という禁欲的であるべき空間を一つの境界に設定し、その禁忌越えの快楽を主軸に据えた官能小説である、ということ。こう言うと、もとより人間のエロティシズムとはそういう構造をしているのだから、それ以上何があるのだ、と言われてしまいそうですが、それらの小説はおおよそ、教師―生徒の肉体関係→タブーの隠匿を背景にした官能→教室内淫行、調教など→行為の過激化、その末の崩壊、あるいは快楽の虜、と言うような構造を持っているだろうことが目次からだけでも推測され、何とも面はゆいものを感じてしまいます。それはそれでいいのですが、オンラインで同じようなものをやっても仕方がない。基本が恋愛小説である自分の作品で、どうやって教師と生徒の愛欲を書こうか、そんなことを考えて始めた連載でした。
 結果、一般恋愛に近いニュアンスで、それでいて年の差や教師と生徒の関係を背景に育ちながら、最終的には社会的制約より、二人の結びつきが周囲を納得させてしまうような物語展開にしよう、ということになりました。まあ、二章くらいまでは、ホントにお気楽なだけのエッチものにしようと思っていないわけでもなかったのですが……。結局、作風的に難しいようです。

 キャラクターの事ですが、真雪も圭吾も、ある程度裕福な家庭の出身です。そんなことが一つの背景で、二人ともあまり生活感がある方ではなく、何処か現実離れした性格をしているのでは、と思います。
 特に真雪は、今まで作ってきた中で、一番作者の言う事を聞かないキャラクターです。放って置くと、とんでもない暴走を始めるので、制御するのに苦労しました。四章あたりを読むとわかると思うのですが……。
 破棄したエッチのバージョンに、ソフトSMやテレフォンセックス、突然連発するハズカシイ言葉などがあります。
 圭吾もタジタジ。番外編を書いてみて、少しは落ちついたのかなぁとも思いますが作者の見えないところで激しいセックスをやらかしている可能性は充分です。ほんと困ったセンセイです。ま、それくらいでないと生徒との恋愛は始まらないのかもしれないですね。
 でも、もしかしたら、こちらの方を読みたかった方もいるかも。

 さて、以前に書いた『Love Spreads』と、この『Step-Up Lesson』は、世界を共有しています。両方読んだ方はおわかりと思いますが、両方の話に登場する人物には長い物語が用意されています。そして、その話を書く時は、一連のアダルトシーン付き恋愛作の一つのまとめになると思うのです。
 現在は仮題『Love Spreads2』となっているこの話ですが、それまでに書いていくだろう話の集大成として、いつも頭の中にあります。執筆は再来年くらいになるのかなぁ……。よろしく、美佳と寛史。それまで待っていてくれ。
 もちろん、その前に書くものも山積みなので、さらに後になるかもしれません。その中には、『Step-Up 番外・大学編』なんてのもあったり……。というわけで、圭吾と真雪とはもうちょっとお付き合いが続きそうです。
(2001.11.14)

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