……で、すこしおまけ。

 
 一学期が終わったその日の夜。真雪のマンションには圭吾の姿が
あった。
 ピンクのレースが少し扇情的なシースルーのキャミソールの裾を
直すと、サイドストラップのTバックのアンダーが、スラリとした
太ももから僅かに覗く。
「まったく、真雪って結構エッチだよなぁ」
「う〜ん、そうかも。でも、圭吾の前だけだからね。エッチなのは」
「はいはい、認められちゃうと俺の方が困るって」
 言うと、背後から抱き締められた。キャミソールの中に、手指が
侵入してくる。膨らみの下から添えられた手が、頂きへとせり上が
ってくると、それだけでため息が漏れてしまう。
 膝立てをした格好のまま、後ろに手を伸ばすと、圭吾のトランク
スの中を指でまさぐった。
 あ、すごく大きい。
「……今日は凄いね、圭吾」
 密やかな声で言うと、もう一方の手が、耳たぶから顎へと柔らか
な刺激を送り、唇の端から口腔の中へと侵入してくる。
 深く侵入してきた指に舌を絡めると、頭の中で咲き始める桃色の
花。そして、キャミソールの中の手は、下腹へと下がり、布地の上
から潤った部分を捉えた。
 敏感な核のあたりを焦らすように撫で回す指先。口の中に入れら
れた指と共に、一気に火がつかないもどかしさが、身体中に熱を溜
めていく。
 後ろ手で掴んだ圭吾の肉樹を、いとおしむように上下に擦った。
指先を膨らんだ先端に絡めると、圧力をかけて刺激を送る。
 布地の上から秘部を玩ぶ指先は、さらに激しさを増して、遂には
脇から濡れそぼった中心へと沈みこんでくると、真雪は小さな嗚咽
を漏らしそうになった。
 昂まってきた官能のままに、口の中の指をしゃぶる。背中に押し
付けられた肉樹は、下着を通してなお熱く、身体の奥がそれを求め
始めるがわかった。
 口から抜き取られた指が、そのまま胸へと降り下る。
 再び乳房をわしづかみにされる戦慄を感じたとき、濡れそぼった
中心に差し込まれた指が、2本に増えた。
 や、やだ……。
 まだ脱がされていない下着が、擦りつけるような刺激を加え、別々
の動きをする2本の指が、全ての思考を奪ってしまう。
「あ、イイ、圭吾」
 キャミソールが抜き取られ、下着が外された。しかし、後ろから
抱きかかえられた態勢はそのままで、その不安定な姿勢が、一層も
どかしさの残る官能の潮を高めていく。
 首筋に、圭吾の唇が当たった。そして、生暖かく舐め取られる耳
たぶ。乳首が摘み上げられ、挿入された指は、入り口の壁をなぞる
ように刺激を送り、敏感な真珠にあてがわれた手の平が、じわじわ
とした快感を呼び覚ます。
 ダメ、いきそう。
 震えがきそうになった瞬間、圭吾の愛撫の手が止まる。
 そして、離された身体に、圭吾がスキンをつける一瞬の時間。
 いきなりの空虚さに、快感の継続を求める自分。
「…どう、真雪、欲しい?」
 再び耳元に囁き。頭の芯が、痺れるように熱くなる。欲しいって、
もちろん、欲しいよ。
「……うん、欲しいよ」
「欲しいの? 入れて欲しい?」
「うん。もう。今日の圭吾、イジワルだ」
 自分でもわかるくらい、甘えたような声になってしまう。
「真雪がそうさせてるんだ。ね、欲しいよね」
 言葉で言われると、身体から離れたような強い快感が兆して、止
まらなくなる。
「欲しい。ね、入れて。圭吾の」
「何を?」
「入れて、圭吾の、大きいの、入れて!」
 瞬間、背後から貫かれた。
 頭が真っ白になりそうな快感に埋め尽くされて、真雪は叫んでい
た。
「あ、イイ」
 今だ膝を立てたまま、激しく突き上げられる危うい快感。苦しい
態勢のまま後ろを振り向くと、突き出した舌を絡めあった。
「う、真雪……」
 腰を砕けんばかりに打ちつけた圭吾と、真雪の秘所の間に、淫靡
な音が響き渡る。
 ついに四つん這いになると、後ろから激しく出入りする圭吾の肉
樹を、唇を噛み締めながら受け入れた。
 ダメ、もう、イッちゃうよ、我慢できない。
 膣の奥から火が付き始めた。そして、下腹を揺るがし、腰がせり
上がると、身体中が突っ張ったようになって、快感の波に呑みこま
れた。
 そして、圭吾の逸物が体内で震える。
「あ、イクぅぅぅ」
 圭吾!
 幾筋ものスパークが眼球の中で弾け飛んだ瞬間、真雪は絶頂に達
していた。
 そして、二人の荒い息だけが残る。
「もう、今日の圭吾、ちょっと酷いんだから」
 快感の雫が消え去った後、真雪は台所で野菜ジュースをコップに
注ぐと、圭吾に差し出した。
「うーん、そうかなぁ」
 ジュースを一気に飲み干すと、渡されたタオルで汗を拭った。そ
して、仰向けにどさりと倒れこむ。
 真雪も、その隣に横になった。
「でも、ま、こんなことばっかしてていいのかなとは思うな。俺。
高校生だってのに」
「もう、することしてから言わないの。いいじゃない、気持ちよか
ったんだからぁ」
 裸のままうつぶせになった真雪は、からかうような調子で言った。
「げ、先生とは思えん発言。相変わらずだなぁ、真雪は〜」
「へへ、いいオンナでしょ」
「へいへい」
 呆れた調子で言った後、真雪の肩に手を置く圭吾。
「……もう一度、する?」
 再び点る官能への種火。熱を帯びた真雪の視線に、圭吾は視線を
さまよわせた。
「う〜ん、どうしよっかな〜」
 でも、言葉とは裏腹に、背中から下へと降りていく指。
 二人の夜は、今日も長く艶やかに続く。

  おしまい

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