あとがき

 この『とらぶるTWIN』はわたしにとって、思い出深い作品です。
 その大きな理由は、小説を書くことをやめてほぼ十年、本当に久しぶりに完結させた話だったからです。どんな話であれ、もはや書き切る気力などないだろう、そんな風に感じていたものですから。

 ところが、書き始めてみれば筆の進む事。殆ど一日で最後まで書き上げることができました。驚きと共に喜び。まだ筆を揮う力が残っていたのだなあ、と何とも形容し難い安堵を覚えたことが未だ昨日のようです。

 それから十ヶ月。その気持ちのままここまで書いてきたのかもしれないと思っています。

 書きたかったのは、アダルト小説であることはもちろん、『近親相姦』と言う関係をどうやって掬い上げて行くか。本来外へ開く要素が強いはずの恋愛も、自己愛に近い形で展開されていくことが多い昨今の社会情勢。
 決してただの夢想に終わらない、少し現実に寄せた形で書くことはできないか、そんな風に思って設定を作りました。
 もちろん、基調は禁忌に対する線超えを基幹にしたエロティシズムなのですけれど。

 この時考えた事は、おそらく再来年位には書くと決めている、『リアルな』兄妹ものに引き継がれていくものと思われます。血縁同士の恋愛の行く末。もはやファンタジックな18禁小説としては成立しないテーマですし、社会との擦り合わせを考えれば、かなりの覚悟を持って書かなければならないだろうと思っています。
 ただ、基礎としては長い間考えてきた事でもあるので、いつかは取り組まないといけないのでしょう。

 三姉弟の中で、一番のお気に入りは一葉。本当は、三章でしっかり『昇天』させてあげるはずが、作品全体のバランスの為に、可哀相(?)な事になってしまいました。
 そんなわけで、設定にあった『過ぎし日の恋』を題材に、番外編を書く事になりました。

 逆に、ううむ、と思っていたのが二葉。掴みどころがない漫画チックな性格で、暴走しそうになることもしばしば。この人と、『Step‐Up』の真雪は、ゼンゼン作者の言う事を聞きません。
 作品想定外の過激なHをしようとするので、書き上げたものを放棄した事もあったなあ……。

 今読み返すと、至らない表現も多くて、参ったな〜、と思うところも多々あるのですが、それは致し方ないかなと思ったりもしています。満足のいく文章が書けない状況は、現在も進行形ですから。創作という意味では、棒に振った十年は大きいな、と思う事もあります。まあ、これも人生ですから、その分これから取り返せばいいと、年甲斐もなく考えています。

 いろいろな意味で、思い出深い作品、それが『とらぶるTWIN』です。
(2001.10.10)

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