第8章 Separate Ways -Jan〜Mar-

 目を覚まして時計を見ると、淡いベッドライトに照らされたデジタルの表示はまだ4時半にもなっていなかった。
 人波で見知らぬ人の身体を押し合う混雑の中、地下鉄の入り口で武史君と待ち合わせをした後、ファミレスで食事をした。今日の試験の出来具合を聞いていると、武史君は絶対に合格している、不思議とそう確信できた。
 年が明けてからの武史君の追い込みは本当に凄かった。どんな場所にも単語ノートや歴史年表を持ち歩いていたし、深夜の『がんばってるよ』コールが欠かされることは一度もなかった。
 学校で顔を合わせれば、まず最初に『1812年は?』『万葉集から一句。』が挨拶代わり。デートのデの字も言い出さないのに、ちょっと赤本に嫉妬したくらい。
 でも、それはやっぱり武史君らしくて、わたしは嬉しかった。
 美佳と口裏を合わせて、母に内緒で予約した受験用のホテル。夕食が終わってたどり着くと、傍目にもわかるほど疲れ切っていた武史君は、ベッドで横になったきり眠り込んでしまった。
 わたしは、英語のケアレスミスが頭に残ってなかなか眠れなかった。外語科であんなミスをしたら、評点以上に響かないだろうか、などと余分な事まで考えてしまう。
 ようやく12時近くに眠ったものの、ふと目が覚めればまだ真っ暗なこの時間。離れたベッドで眠る武史君はまだ、静かな寝息を立てて横になっていた。
 ベッドから抜け出すと、彼の眠るベッドサイドに膝をついて、穏やかな寝顔を見下ろした。
 短く刈られた頭髪の下、引き締まった眉毛は少し垂れ気味になって、閉じられた目と、主張の強い大きな鼻とあいまってなんとなく可愛い感じだ。
 指を一本伸ばして髭の剃り跡の残る頬を押すと、唇が少し動いた。
 ・・・ごめんごめん、起こしちゃうよね。
 手を引くと、組んだ両腕の上に顎を乗せて、武史君の横顔を見つめた。自分の左手の薬指に填められた銀色の指輪が目に入ると、バッグの中に入れた緑色の小箱のことを自然に思い出した。
 いつ渡そうかな・・・。
 ずっと貯めていた貯金を下ろして、あの時貰った指輪と対になりそうなデザインの指輪を選んだのは、もう随分以前だった。でも、渡すきっかけが見つからなくて、とうとう今日の受験日になってしまった。
 勉強に打ち込んでいる武史君を見ていると、なんとなく場違いな気がして。そして、そういう機会を持てなかったのも確かだった。やっぱり、渡すのは合格した時かもしれない。
 あの時のキスは絶対忘れないよ、武史君。・・・本当は、今日も抱き合えると良かったなあ。うーん、ちょっと寂しかったかも。
 ぼんやり武史君の顔を視野に入れていると、抱きしめて欲しい!と勝手に心が動いていく。やっぱり、試験が終わって気持ちが楽になっているのかもしれない。
「う・・・」
 その時、武史君の眉根が少し寄って、僅かに開いた唇の間から、小さなうめきが漏れた。
「う、・・、だから。」
 右手がびくりと動くと、さらに眉間の皺が深くなる。暫く小さなうめき声が続き、毛布の下で身体が捩られた。
「武史君。」
 声をかけると、言葉にならない返事を返したように思った。繰り返し名前を呼ぶと、細い目がうっすらと開いた。
「武史君。」
 瞳が四方を確かめるように動いた後、わたしを認めてはっきりと視線を向けた。
「大丈夫?変な夢でも見た?」
「・・・時間は?」
 まだ物憂げな声だった。
「5時ちょっと過ぎ。」
 苦しそうな感じはなかった。やっぱり、試験の夢でも見たのかな。
「もう少し、寝る?」
 心とは裏腹な台詞。ちょっといたずらはしたけど、わたしの気持ちが届いたようで、何か嬉しい。
「亜矢は、何時ごろ寝たの?」
「うーん、わたしも早かったよ。10時くらいかな。」
 穏やかな表情で見つめられると、甘えたくなってしまう。ベッドの端から毛布の下へ手を入れると、武史君の腕に手を重ねた。Tシャツだけで剥き出しになった二の腕が、とても暖かい。
「・・・武史君が寝ちゃったから、つまんなかったし。」
 これは、思いっきり本音だった。胸の奥から兆す気分がどうしても止められなくて、そのまま武史君のベッドに潜り込んでしまう。
 やっぱり、すっごくあったかい。
 パジャマの上からでも武史君の体温が伝わってきて心地よかった。
「いいよね。・・・くっつきたかったんだ。」
 何も言わずにわたしの肩に回された手と、二人の体を覆うように首まで掛けられた毛布。
 もう、・・・大好き。
 そのまま何も言わず、武史君の胸の鼓動を聞いていた。
 ドキドキ、ドキドキ。
 わたしだって身体は大きい方だ。でも、もっとキングサイズの武史君の胸と腕に抱きしめられていると、安心して心が柔らかく抜けていくようで。
「あったかいなあ、武史君の身体。」
 両足を絡めると、無言だった武史君がびっくりしたように声を上げた。
「うあ、冷めて。」
 あ、足先が当たったからだ。
「でしょ。」
「結構、冷え性なんだ。」
「結構、どころじゃないよ。夜寝る前はもっとひどいから。」
 足先を武史君のふくらはぎの辺りにぴったりと付けると、甘えた声を出してしまう。
「一緒に住んだら、いっつもあっためてくれる?」
 小さく笑ってから武史君は言った。
「・・・住めたらね。」
「大丈夫。きっと受かってる。」
 もし二人とも合格したら、一緒に住む約束になっていた。そして、そこがわたし達の最初のスイートホーム。
 武史君が半信半疑なのはよくわかった。でも、わたしが疑ってどうなるだろう。信じている。わたし達の未来は真っ直ぐに続いているのだ、と。
 いくつかの言葉の後、下ろした髪の中の耳元に手を添えて引き寄せられると、それだけで背中から震えるような感覚が染み渡ってくる。
 唇を合わせた時、頭が真っ白になってしまいそうなほどだった。ずっと、考えることさえ遠ざけていたから、心も身体もひどく敏感になってる。
 それでも、開いた唇と舌先が求め合い始めた時、武史君の反応が鈍いのに気付いた。
 あれ・・・。
 いつもなら、奪うような調子になっていくはずが、少し引いて行くような素振りの彼の動き。
「・・・どうしたの?」
 顔を離して目を見つめる。視線を逸らした武史君が、なんとなく奥歯にものが挟まったような感じで言った。
「ほんとに、久しぶりだよな。」
「・・・うん。」
「大丈夫だった、亜矢は。やっぱ、一人でしちゃったりした?」
 唐突に話し始めた武史君の意図がわからずに、少し怒った感じで返してみる。
「もう。ずっと、待ってたよ。今日、一緒にいられるってわかってたから。でも、考えないようにしてた。取り敢えず試験が一番大事だから。」
「そうだな。でも、ほんとに?」
「女の子は男の人とは違うんだから。思い付かない時は全然平気だよ。」
 視線をもう一度合わせた武史君の目が、なんとなく悪戯っぽく輝いたように見えた。そして、それが何処かエッチな気分のスイッチを入れて。
「・・・ほんとは、2回くらいしちゃったけど。」
「ほら、やっぱり。」
「もう、なんでそんなこと聞くの。」
 武史君が何か考えているのはわかった。でも、何を?
 その時、耳元に寄せられた唇が、熱い息と共に、思いがけない一言を告げる。
「・・・亜矢が自分でしてるところ、なんか見たくなった。」
 え、ええっ?どうして、そんなこと。
「え?わたしが?」
「うん。」
 驚いて見つめ返したわたしに、武史君はストレートに肯いた。
「本気?」
「うん。」
「・・・ホントのホントに?」
「うん。」
 どうしよう・・・。
 予想外のアプローチだった。だいたい、どうしてわたしの、してるところなんて・・・。
 どうしよう・・・。
 そんなの恥ずかしすぎる。
 あ、でも、男の子が一人でする時、グラビアやビデオを見てするんだ。女の子でも、男の子ほどでなくても、そういう人がいるのは知ってる。
 そうか・・・。
 なんとなくわかった気がした。
「ごめん、やっぱ・・・」
 ちょっと申し訳なさそうにする武史君を遮ると、
「いいよ。」
 そして、身体の奥が少しジンとする感覚。
「特別サービスしちゃう。ちょっと、恥ずかしいけど・・・。」
 自分の言葉がさらに頭の何処かに火を付ける。
 なんか、凄いことをしているような気もした。自慰行為を見せるなんて、女の子同士の話でも聞いたことがないし・・・。
 でも、赤いチェックのパジャマのボタンに指が掛かり、一つ一つ外し始めた時、恥ずかしさと共に、紛いようもない情欲が流れ込んでくるのがわかった。
 身体を寄せた武史君が、斜めに見下ろしている。
「はあ・・・。見てる、武史君?」
「ああ。」
目を閉じると、見せ付けるようにブラジャーに覆われた胸を露わにした。
「何か、うまくできないけど・・・。」
 自然に焦らすような感じでカップの中に手を入れてしまう。頂きに届いた指が、先端を柔らかく摘み上げる。
 恥ずかしいけど、でも・・・。
 ブラのホックを外した時、頭の中の炎が恥ずかしさを塗り潰してしまった。大胆に乳房を揉み上げるような動きで、武史君の視線に映っている自分をリフレインする。
 さらに身体を密着させた彼の吐息が頬にかかると、自然に唇を求めていた。少しだけ絡まり合った舌が、さらに頭の中をかき混ぜる。
 もう、我慢できなかった。
 内腿に添えていた手を、ショーツの中に差し入れる。
「やだ・・・。」
「濡れてる?」
 うん、濡れてる・・。武史君、見てる?わたしの身体で感じてる?
 いつの間にか剥き出しにされた彼の昂まりが、太腿に押し付けられる感触。一際の熱さを確かめながら、人差し指を少しだけ泉の中に沈めた。
 胸に添えられた左手は、もう自分でしている時と同じ、いや、それ以上にいやらしく動き回っていた。二本の指を、濡れた中心から這い上がるように敏感な頂きに添えると、武史君の指がわたしの指に絡まってくる。
 あ、指の動きがわかっちゃう。
 それでも止まらない。小さな円を描いて周辺を刺激した後、もう顔を覗かせているだろう頂きに軽く触れた。
「ダメ・・・。」
 武史君の指が、固くなった根元を嬲ろうとする。
「そんなことしたら、感じちゃうから。」
 もう、限界だった。これ以上触っていたら、簡単に登り詰めてしまう。それに、まだしたいことがあった。
 さっきから太腿に感じ続けていた熱い昂まり。
 身体を起こして手を添えると、張り出したピンク色の先端は、指が回りきらないほど大きく自分を主張していた。
「大きい。・・・ちょっとはタンノウできた?」
「・・うん。」
 少し歯切れの悪い武史君の様子。そうだよね、もうちょっと、魅力的に脱いであげればよかったかな。
「もうちょっと、セクシーにできたら良かったんだけど。武史君にだったらいつでも見せてあげるから、言ってね。」
 見られちゃうのって、少し快感かも・・・。うわ、ちょっと変態かな。でも、こうするのだって・・・。
「久しぶりだぁ・・・。」
 舌をじっとりと先端に当てる。弾力のある表皮が心地いい。少し開いた精の出口に、舌の先をちょっとだけ当てる。そして、裏側の一番敏感な部分(もう、わかってるんだ。)に唇を当てると、横から包み込むように舌を這わせた。
 久しぶりの武史君のシンボル。こうやって口に入れていると、すごく愛おしいような、身体の芯かじんわりするような・・・。
 ・・・もっと、愛してあげるね。
 手を当てた足の震えで、武史君が堪えているのがわかった。
 幹の下へと唇を這わせていく。少し緊張し始めた袋に手を添えると、衝動に駆られて、包み込むように片方を、そしてもう片方をと口の中に収めて柔らかく玩ぶ。
 やっぱり、凄くエッチな気分になってる。
 それが、ずっとしていなかったせいなのか、見せてしまった余韻なのか、こうして口の中で暴れている固いもののせいなのかわからなかった。
 でも、武史君の顔がわたしの足の間に潜り込んできて、太腿に当てられた手が花弁を押し開いた時、心の中で『もっとして!』と思ったのは確かだった。
 そして、濡れた中心を夢中で押し付けていた。
 下腹部に当てられた手が、真珠を剥き出しにしてる。そして、すぼめた唇が当てられると、吸い上げられて。
 じわじわと入ってきた指が曲げられて、半ばの壁に押し付けられるように動く。
 ・・・ダメダメ、感じちゃう。
 頭の動きを早くする。そして、張り詰めた先端に舌をめちゃくちゃに這わせる。
 う、うそ。
 もう一つの指が、お尻の肉を割って、またあの場所をさまよっている。
 クリトリスを嬲る唇、身体の奥を掻き回す指。そして、くすぐったいようなお尻のすぼまりをなぞる指が、ほんの少しだけ中を抉った途端、わたしは頬をすぼめて武史君のペニスにしゃぶりついていた。
 出して、わたしの中に、口の中に出して・・・。
 今わたしの口は、完全に武史君の精を受け止める性器になっていた。ビクっと大きな震えが口の中を揺るがした途端、口の奥に迸る精。
「亜矢!」
 武史君のうめく声が聞こえた。
 そう、出して、いっぱい・・・。
 そのまま喉を落ちていく流れを感じながら、わたしも官能の波に身を任せた。まるで、膣で精を受け止めた時のように。
 激しいうねりが収まった後、武史君が聞いた。
「テンション上がっちゃったね。もう少し、する?」
 わたしは首を振った。そして、彼の足元にそのままへたり込んでいた。
 頭の奥がじんわりとするような感触がまだ残っていた。普通に抱き合った時より、ずっと気だるいような気分が残っていた。
 武史君と分け合えるなら、こういう感覚も悪くないかな・・・。
 そんなことを考えながら、彼の太腿に頭を乗せてぼんやりとしていた。


 その日の午後、わたしの受験した大学のキャンパスを二人で歩いた。
 昨日に比べてずっと気温が下がっていて、いつものベージュのダッフルコートを着たわたしはともかく、黒のカーディガンをポロシャツに羽織っただけの武史君は少し寒そうに見えた。
 手を繋いだまま、冬の色が残る並木道を、建物が立ち並ぶ方へと足を運んで行く。
 石畳の終わる所に、大きな黒い門があって、閉じられた鉄格子にかかったプラスチックの告知板には、『試験期間中のため、関係者以外立ち入り禁止』と大きく書かれていた。
「しょうがないかな。」
 武史君はわたしの方を見下ろすと、
「亜矢は、よかった?中まで見たかったんじゃない。」
「ううん、いいよ。」
 わたしは首を振った。
「昨日は、人ばっかりで全然雰囲気が掴めなかったから。今日、武史君と歩いたら、なんとなくわかった。」
 踵を返して、今きた並木道を引き返し始めた時、武史君が立ち止まって葉の落ちたプラタナスの木を見上げた。
「大学か・・。やっぱり、違う雰囲気だよな。俺は、まだなんとなく実感がないよ。11月まではもう、勉強は今年でおしまいだと思ってたから。」
「でも、やっぱり今年でおしまいなんじゃない?」
 わたしは少し意地悪く笑った。
「大学で勉強するなんて人、ほとんどいないでしょ。」
「・・・勉強しないなら、俺は来ないさ。ちゃんとした目標があるんだから。」
「うん。武史君は、そうだよね。」
 再び歩き出すと、武史君は前を見たまま聞いた。
「亜矢は、どうして外語科なわけ?芸術大学とか、音大とかそういうのは?」
「・・・音大にいくほどの才能も、こだわりもわたしにはないの。」
「そうかなぁ。」
 武史君は抑揚のない調子で、少し不満げに言った。
「正直、これから何ができるのかわからないのよ。でも、外国語をしっかり勉強すれば、できることはたくさんある。通訳や日本語教師みたいな専門職から、旅行や貿易、国際関係のアクティブな仕事まで。それに、武史君のために言い添えるなら、歌を歌う時に、原語を把握しているといないでは全然違うから。」
「それで、ドイツ語学科?」
「・・・ううん、そういうわけでもないんだけど。どっちにしろ、英語はやるから、別の専攻にしたかったんだ。」
「そうか。」
 肯くと、武史君は薄い雲の流れる空を見上げた。
「亜矢もいろいろ考えてるんだよな、当たり前だけど。本当に、一緒に歩けるといいな、この道。」
「大丈夫。わたしが保証するって。」
 腕を絡めると、身体を寄せた。並木道の前方を見やると、わたし達と同じように体を寄せ合ったハーフコート姿のカップルがこちらへ向かって歩いてくる。
 気のおけない感じで時折見詰め合いながら話をする様子は、大学生活も長いように見受けられた。
 数メートル離れて行き過ぎた瞬間、軽くウエーブの掛かった長髪の女性と、ファッショナブルなグラスをかけた男性の二人組みは、軽くキスをした。
 ごく自然で、わたし達がそこにいてもいなくてもまったく関係がないような感じで交わされたくちづけだった。
 武史君も、小さくなっていく後ろ姿に振り返るほど印象的な眺めだった。
 わたしは、武史君の手をぐっと引くと、目を閉じて顎を反らせる。
「こらこら。」
 たしなめるような調子の武史君の声。でも、わたし達も負けてないと思う。
 そのまま待っていると、軽いくちづけの感触が唇の上を過ぎて行った。
「・・・まったく。ま、そういう所、俺は好きだけど。」
「へへへ。別に、武史君以外の人に好かれたくないもん。」
 わたしは腕をより深く絡ませると、武史君の身体にぴったりと寄り添った。
 

 つい一週間前に交わされた会話がそんな風だったから、とても幸せで、その気持ちが途切れるのは信じられなかった。
 それほどに、突然だった。
 受験が終わって、地元に帰った次の日に武史君から電話があった時、それほど深刻には考えていなかった。
 お母さんが倒れられて、入院したこと。手術をしなければならないこと。
 少しでも力になれたら、とは思った。
 結局、あの頃のわたしの経験はそれくらいのものでしかなかったのだ。
 その5日後に会った時の彼の言葉は、今思い出しても胸を突くような苦い思い出になって残っている。
『亜矢とは東京には行けない。』
 長い沈黙の後、噛み締めた歯の間から、搾り出すように告げられた言葉。
 どうして、叫びたい気持ちを押さえるのが精一杯だった。
 もし、今のわたしがそこにいたら、そのままあの場所に留まったかもしれない。
 でも、あの時のわたしにそれができるはずもなかった。
 今思えばあの瞬間から、一度は合わさったわたし達の道は、再び別の方向へと進み始めていたのだと思う。

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